パブリックリレーションズとは、企業や組織および個人が、社会との良好な関係を築くために実施する一連のコミュニケーション活動を指します。古くは100年以上前から体系化され、その頭文字からPRと表記されます。PRが日本に導入された当初、日本語では広告と一線を画する「広報」と訳されました。その実態の変化とともに、推進役となるPR会社、広報コンサルティングの役割も変遷を遂げています。
まずPRの根底には民主主義があります。PRは、世論を大切にする民主主義における報道倫理(ジャーナリズム)と密接に連動するからです。日本にPRが導入されたのは、民主主義が日本にもたらされた第二次世界大戦後です。連合国軍総司令部(GHQ)がPRの理念を指導するうえで、政治上のプロパガンダ(布教、大衆操作、宣伝)や「広告」と切り分けたのが起点といわれています。
PRの領域は、情報・報道媒体であるメディアの発展とともに拡大し続けています。19世紀から20世紀にかけたマスメディア台頭期、PR初期は、報道機関への情報提供(メディアリレーションズ※共同ピーアールの商標登録)によって記事(パブリシティ)を獲得するのが、社会(パブリック)との関係構築の実務でした。20世紀後半からインターネットの普及とともに、情報環境が爆発的に拡大し、販売促進(プロモーション)」や広告・宣伝(アドバタイズメント)を包含しながらPR領域が拡大しています。
そして2008年のスマートフォンの登場とともに、人々をつなげるソーシャルメディア(SNS)が次々と登場し、新たなPRニーズが生まれています。同時に広告と広告の境が無くなってきてなっています。媒体における「汽水域」と呼ばれる、広告と広報の狭間にあった領域が拡大しているのです。広告のデジタルコンテンツをPRツールとして使うようになってPRの解釈が広がっています。
PRの輸入から100年近く経つ中で、民主主義と対をなしてきた資本主義(キャピタリズム)のほころびを埋める潮流が拡大しています。半世紀にわたるステークホルダー資本主義、2000年の国連サミットで合意されたMDGsの後継となるSDGs、環境・社会・ガバナンスへの投資を促すESG。こうしたトレンドを受けてPRが最終的に訴えかける訴求対象も、株主から社員、関係各者、監督官庁などあらゆるステークホルダーへと拡大しています。そのため、これまでのCSR活動や高まるSDGsへの取り組みを包括的に訴えるPRが求められています。
PR会社が求められる役割も変わっています。これまでの報道機関による記事化を促進するメディアリレーションズにとどまらず、複雑化するメディア環境におけるブランディング、マーケティング、社員および採用者ならびに投資家への対応、監督官庁との調整を含みます。ソーシャルメディアによって発信量、情報量、世の中の反応が目まぐるしく変わる中、次世代のための事業創出を促進するPRが必要です。あわせて次から次へと生まれる危機的状況から脱するための、危機管理PR戦略および施策が求められています。共同ピーアールは創業から半世紀以上にわたり、日本市場および世界で活躍する企業や人を支えるPR支援を提供しています。