最先端のPRを支えるエッジブーム
 
 

早、師走。デジタル庁設立によってDXがより身近になろうとしています。この一年を振り返り、最先端のPRを支えるテクノロジートレンドを見てみましょう。ヴィ―ム・ソフトウェア株式会社 執行役員社長の古舘 正清氏ならびにVeeam Software エンタープライズ戦略担当 VPのデイブ・ラッセル氏、同 製品戦略担当シニアバイスディレクターのリック・バノーバー氏に「エッジコンピューティング」について伺いました。

エッジコンピューティングブームの高まり

エッジコンピューティングは、ネットワークにつながる端末(エッジ)にコンピューティングのみならずストレージ、コネクティビティといったIT資源を近づける技術です。これにより、帯域幅を節約し応答時間を縮めて、分散した環境で働く就労者のリモートワークを支えることができるのです。

2020年まで、 エッジコンピューティングの盛り上がりはVRや5Gに付随する追加的なものに留まると予想されていました。しかしその後、今日のパンデミックの発生により、一気に需要が高まりました。労働力が瞬く間に会社から離れた場所に分散したため、ネットワークに負荷がかかって遅延が発生し、その解決策としてエッジコンピューティングの利用が拡大したのです。データをローカルで処理するエッジソリューションを導入すれば、もはやパブリックネットワークを使う必要がなくなります。

今やエッジコンピューティングは、産業、小売、ヘルスケア、スマートシティなど幅広い環境で、何百万ものIoTアプリケーションを動かすのに役立っています。利用形態は就業者のZoom接続のみならず、クリエイターが自宅で編集した巨大なビデオファイルの送信、何千人もの学生がオンライン授業を受ける学校、高解像度の画像を用いた遠隔医療など様々です。

その結果、エッジコンピューティング関連のハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションのブームが起きています。アナリストたちは、エッジコンピューティング市場が年率30%増で成長し、2030年には440億ドルに達すると予測しています。

接客現場で変わるカスタマーサービス

エッジコンピューティングが役立つ事例として、接客現場を見てみましょう。カスタマーサービスには適切な選択肢、情報、わかりやすい購入方法、プライバシーの尊重、そして心のこもったケアが求められます。企業がお客様に関する情報や洞察力を、接するその場で得られれば、購入の場面でより良い対応ができます。ここで、エッジコンピューティングが強みを発揮するのです。

小売業では、ウェブ閲覧の履歴キャッシング機能を備えたエッジデバイスを利用して、オンラインでの顧客体験を実際の店舗で再現できるようになります。顧客情報、購買パターンをもとにした洞察の適用、リアルタイムの購買処理などを行い、顧客により良いサービスを提供できるようになるのです。

例えば店舗の外では、セール情報をユーザーの手持ち端末の画面にポップアップ表示して、店内に誘導することができます。ユーザーが店内に入ると、そのユーザー端末に店舗ネットワークが接続し、これまでの購入履歴にアクセスします。これによりユーザーが、カスタマイズされたクーポンを使ったり、パーソナライズされた購買アシスタンスによるサポートを受けたりすることができます。また店内に戦略的に配置したキオスクやスクリーンに、ユーザーの購買パターンに応じてカスタマイズしたプロモーション情報を表示することもできます。

販売員は、デジタル端末から最新の在庫状況を確認したり、商品情報を収集したりするアシスタント機能を利用できます。また、商品検索を使って、ユーザーの好みに合わせた適切な商品を案内できるのです。

エッジセキュリティに死角はないか

懸念されるのは、エッジコンピューティングの普及はセキュリティに大きな影響を与えるのではないか、という点です。なぜならネットワークにつながる箇所(ノード)を増やすと、攻撃を受けやすい場所が増えることになるからです。そのため、ITセキュリティの責任者は、エッジに保存されているデータやアプリケーションが、データセンター内と同等の強度で守られるよう、防御を強化する必要があります。

一方でエッジコンピューティングは、分散型ならではのセキュリティ上のメリットもあります。エッジ端末が外部からの侵害を受けた場合、セキュリティチームが即座に接続を遮断して、攻撃がネットワーク全体に広がるのを防ぐことができます。また、データをエッジに残すことで、自宅などリモート拠点との通信トラフィックを制限することができます。これにより、ビジネスに不可欠なデータが保存されているデータセンターのセキュリティの階層を厚くして、脅威を遠ざけることができます。

エッジコンピューティングの導入に際しては、適切なデバイス管理によるIoT端末のセキュリティ確保が重要です。そのためには、ポリシーに基づいた設定や、コンピューティングとストレージのセキュリティ確保が求められます。特に、データの保存時ならびに送信時の暗号化には注意を払う必要があります。エッジ対応システムのセキュリティを最適化するためには、企業が強力なガバナンスプログラム(統治要綱 )を確立し、個別に生成、処理、転送されるデータを管理する必要があるのです。

こうしたエッジセキュリティの課題は、ITにおける来年以降の最重要項目となるでしょう。もちろんPRにおける危機管理とも同期します。

テクノロジー民主化の4本柱

データの集約、処理、分析を局所的に行うことができるエッジは、起業家に新しい機会を提供します。より多くの人材を確保できるようになり、起業や運営、データ管理のコストが下がるからです。新しい産業はもちろん既存産業においても、新しいベンチャー活躍の場が生まると考えられます。

在宅ビジネスでは、独自のエッジアウトレットが生まれるでしょう。企業は、増え続ける遠隔地の従業員や契約者に対応するために、地域ごとにエッジハブを設立するでしょう。通信事業者は5Gネットワークをエッジハブで提供することで、現在のネットワークにのしかかるトラフィック負荷を軽減できるでしょう。

Gartner社は、2023年までに民主化の4要素が加速すると予測しています。それには、

– データサイエンティスト向けのツールが開発者コミュニティに拡大する「データとアナリティクスの民主化」

– カスタム開発アプリケーションにおけるAIツール利用がもたらす「開発の民主化」

– ローコード、ノーコードを拡大し、追加のアプリケーション開発を自動化することで市民デベロッパーを支援する「デザインの民主化」

– ツールやエキスパートシステムを利用することで、自身の専門知識を超えたITスキルを活用・応用できるようになる「知識の民主化」

が挙げられます。

以上を取材した共同ピーアールは、人々に自由をもたらすテクノロジーと民主化を、PRを通じて推進しています。

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