PR会社の主な業務は、クライアント企業の「取材を調整する」側です。いかに「取材する」側とコミュニケーションを取るか、を追求する仕事です。一方で登壇など「取材を受ける」側に周ると、また新しく見えるもの、気づくことがあります。
2010年からSDGsを形成してきたワン・ヤング・ワールド(OYW、 一般社団法人One Young World Japan Committee ) のイベントと、PRの危機管理を例に、取材を調整する、実施する、される側の視点を紹介します。
ハイブリッド世界サミット、現場は作るもの
コロナ下のこのわずか半年ほどで主流となったのが、イベントのオンライン開催。取材を調整する側としては運営上のトラブルを最小限にするために、配信側は会場に集い、 照明、 音響、機材、通信などを一括管理しています。視聴者もZoom、Microsoft Teams、Googleハングアウト、Cisco Webex、Vimeo、ON24などなど、それぞれのURLに当たり前のようにログインするようになりました。
今回、取材する側として参加した ワン・ヤング・ワールド(OYW)は、2010年ロンドン大会を皮切りに 若者版ダボス会議と呼ばれる 世界会議を運営する国際組織です。2022年は小池百合子都知事支援のもと 東京サミット開催を控え、今回 お台場のBMW GROUP Tokyo Bayで 「Tokyo Caucus 2020」を開催。今回は主催者との直接やり取りなので、取材調整の日常業務ノウハウを活かして取材スペース、電源、撮影など最低限必要な環境は積極的に提案します。イベントは一緒に作るもの、ありがたいことに快諾いただけます。
目の前のひとの心の声を聴く
PR会社で取材を調整する際、タレントをキャスティングしている場合は、取材が成功すると影響が大きい反面、失敗するとダメージも大きい。 タレントの方はある意味、独立した生身の一個人なので、一般の企業人とは違う緊張感があります。今回は取材をする側として、話しかけてよいものか一瞬ためらいました。
が、そこはPR会社の本能が発動。気づくとダッシュでキャストの声を取りに行っていました。初日は主に、開会あいさつに当たった 一般社団法人One Young World Japan Committee理事長 大久保 公人氏ほか、OYW Japan特命代表SUMIRE氏、OYW Japanオフィシャルアーティスト AI氏に話を伺いました。
大久保氏の話は深い思想、思考、歴史があるので別の機会にまとめます。加えて、心を打ったのはSUMIRE氏、AI氏の真摯な言葉。ステージ上のスピーチ、楽曲に思わず涙がこぼれた後に聞いた、個別取材の声が本物なのです。
初めてOYWに参加予定のSUMIRE氏は「OWYについて知れば知るほどすばらしいと思う。わたしもOYWを通じて世界から学びたい、アンバサダーから学びたい」と目を輝かせ「 コロナの今、メンタルヘルスがとても大切」と述べます。
芸能界でも痛ましいニュースが続くことについてAI氏は、「相手の気持ちを思いやること。イラっとすることがあっても、その相手には見えない痛みがあるかもしれない」と話し、One Young Worldテーマソング「Not So Different」を作詞した思いを聞かせてくれました。
今しがた目にしたパフォーマンス、そのアーティストの生の声、イベントの一体感が、感動と高揚を呼びます。
データは復旧できるように必ずバックアップ
今回、 「Tokyo Caucus 2020」 取材を経て、3日間にわたる取材の数、オンラインとオフラインの組み合わせ、取材される側や調整する側との一体感が、これまでにない糧となりました。しかし一方で、大きな失敗もしました。
なんと、渾身の写真データをバックアップしようとして操作を誤り、消してしまったのです。
ああ、血の気が引きました。
一瞬目の前が真っ白になり、なんども空のメモリを見返しました。
しかし、ないものは、ない。
バックアップの基本は、「3-2-1ルール」。データのコピーは3つ以上、格納するメディアは2つ以上、そのうち1つはオフライン、オフサイトに置くことです。
ヴィーム・ソフトウェアの記事を読みながら、自分を呪いました(涙)。
参照:
2020年10月27日 日本経済新聞 私見卓見
『バックアップ投資、ためらうな リック・バノーバー氏
米ヴィーム・ソフトウエア 製品戦略担当シニアディレクター』
さて、危機のときは落ち込んでいる暇などありません。今回は、夜中にも関わらずイベント主催者に連絡、有志が何枚も写真を共有してくれて事なきを得ました。志が同じ者は友、持つべきものは友、です。
以上、イベントひとつ、取材ひとつをとっても、様々な立場、関わり方、感じ方があります。SUMIREさんを取材しながら、そういえば自分が最初にテレビに出演した子ども時代、初めてご一緒した芸能人がお母さまだったことを思い出しました。
コロナは人間性を豊かにするチャンス。ぜひ各々の取材の醍醐味を探索していきましょう。
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