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国際目標SDGsを取りまとめる外務省 地球規模課題総括課長 吉田綾氏スペシャルインタビュー

PRによるSDGs推進を担うPR総研は、3月17日「みんなで考えるSDGsの日」記念日制定1周年を機に、 SDGs NAVI YouTube番組にて 外務省 地球規模課題総括課長 吉田綾氏のスペシャルインタビューを公開しまし た。動画はこちら

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国連が定める国際目標、SDGsを日本で取りまとめる省庁は外務省です。そこでPR総研 所長 池田健三郎がSDGs NAVIを率いるマザーアース、 ガマ兄氏とともに外務省を訪れ、吉田課長に他ではきけないSDGsを取り巻く変化などを深掘りしました。

2020年度のSDGsを振り返っていかがでしたか?

2020年は、SDGs目標達成の区切りである2030年に向けた、行動の10年(ディケード・オブ・アクション)、つまり 目標達成へのアクセルを踏む最初の年のはずでしたが、年初からコロナ拡大により、SDGs前進には大きな打撃の年だったと言えます。

外務省ではゴール3「すべての人に健康と福祉を」の実践のため、国内では一人でも多くの人を守る上でSDGs促進にあたり、目の前の危機からの脱却とより良い立ち上がり、ビルド・バック・ベターを目指しました。途上国に対しては、世界保健機構(WHO)とともにワクチンの共同購入により分配する国際的な枠組みCOVAX(コバックス)を実施しました。

外務省はSDGs推進本部の事務局として関係省庁のSDGs施策を寄せ集め予算取りをしていますが、その額は6.5兆円と前年比の4倍弱に増えました。これはコロナの打撃が甚大な中で、保健の確保のための予備費や補正予算が加わった結果です。さらには2030年カーボンニュートラル宣言に伴い、目の前だけでなく長期的な気候変動に対する環境アクションが加わりました。社会経済が大きな凹みに直面した反面、SDGsという地球課題への認識が高まったと言えるでしょう。

予算においては、「SDGsをどう捉えるか」でSDGs施策になりえます。今、すでに実施している施策をより良くやっていくためにSDGsを捉え直すと、総体的に良い結果が生まれるでしょう。各省はもちろん、政策を支える人に、こういった方向であってほしいという国民の声が届くと、その実行力も大きくなるのです。

2021年度 SDGsの課題はなんでしょう?

今年はコロナからの復興の年、アクションプラン2021を着実に実施する一年となります。コロナは課題と機会、両方をもたらしました。人と会えない、距離を取らざるをえない状況を無理やりつくり出した一方で、圧倒的にデジタルトランスフォーメーション(DX)が進み、意思疎通や対話の新しい機会が生まれました。これから引き続き大事なのは、社会変革の元となるDXでしょう。

SDGs本体においては、毎年夏に国連でハイレベルの政治フォーラムがあり進捗報告を行っています。日本は2017年から3年ぶりに、自発的国家レビュー(ボランタリーナショナルレビュー、VNR)を発表する予定です。ここで日本としての捉え方、取り組み、日本なりのSDGsモデルを示し、国内だけでなく国際社会でも実行を進めるために、鋭意努力中です。
参考: 日本政府の取組 | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

興味深いのは、SDGsとひとくちに言っても各国様々、アプローチが違う点です。一部の国では環境問題、ジェンダー、貧困対策などに力点が置かれています。日本の特徴は2つ。ひとつは経済界との相乗効果の意識が高い点です。ビジネスの本業によるSDGsが社会にも良いという三方良しの考えが浸透し、共鳴する人が多い。日本の電車に乗るとSDGsのバッジをつけた背広を着ている人が多い、といわれるのはまさに経済界とのシナジーを示しているのだと思います。

もうひとつは、日本の地方自治体の力で、これは国連の関心も高い分野です。地方が抱える課題を解決する上でSDGsの取り組みを意識し、ゴール発見や自治体が持つ良さの発信につなげていることで、PR発信が増える魅力的なモデルができていると言えます。

日本のSDGsの取り組みは多様性が高い点も独特です。環境、格差、ジェンダー問題もあり、SDGsが社会の全体的なアジェンダとして捉えられているのです。

国際交渉と日本の日常を結ぶものとは?

政府や外務省として、国民や企業の皆さんにお伝えしたいことは、コロナ感染症対策で経済的にも打撃が大きく苦しい中で、どう乗り越えて着地するかが大事、そこにSDGsがあるということです。目標だけがあってもきれいごとに留まり、手に届くはずだったものが一時的に遠くなったのが2020年度の現状でした。SDGsが面白いのは、直線では達しない、社会変容やトランスフォーメーションが必要ということです。コロナはまさに社会変容を余儀なくしています。わたしたちはこれをエネルギーとして使い、今一度高い目標、北極星に向かって今自分が何をできるか、コロッと発想を変える、更地から作るチャンスと言えるのです。こうなってみないとまっさらに戻せないものは沢山あります。見直す機会に変えましょう。

日本は2019年施行の食品ロス削減推進法、2020年施工のレジ袋有料化によって、日常の小さなことが世界につながることに気づきました。自分が食べ残したものがどれだけ無駄で、自分が使ったレジ袋がいかに海の魚を脅かすかといった気づきと、それによって生じる社会変容が、ほんのこの2、3年というショートスパンで起きています。

外交の場面では誰かが勝てば誰かが負けるゼロサムゲームがありますが、柔軟に議論のテーブルを変える風向きが起きているというのが今だと思います。地球規模の課題は一国では解決できずに複数の国が協力する必要がある。感染症は一瞬にして国を超えて加速度的に世界が変わる。良い意味でも悪い意味でも、SDGsが気づせてくれた国際問題であり、変化の機会です。

わたし自身、感慨深いのは、2015年に採択された気候変動に関するパリ協定で、日本に不利にならないための国際交渉をしていたときから今日までの変化です。当時は3年間パリで、大きな枠組みをいかに日本の国益に沿って実現するか、非常にテクニカルな交渉にあたりました。それから今現在は、枠組みとして決めたものがどう実施されるかという段階に移り、食品ロスやレジ袋を落として、環境問題と気候問題が自分事化しているのです。
参考: 外務省: パリ協定 - 歴史的合意に至るまでの道のり

日本の国民性ならではのクリエイティビティ

日本のクリエイティブなところは、自分から、一人ひとりが、風呂敷を使ったり、紙をタブレットに置き換えたりと、変化を楽しむ国民であるという点だと思っています。まだまだ変わらないことと、新しい変化を両方受け止め、日本ならではのSDGsが生まれています。

SDGsが気づかせてくれることは、自分の行動が世界につながっている、ということです。SDGsは、「世界は変わる」と思って一歩を踏み出す勇気をくれるのです。

※よりディープな話はPR総研オンラインプレスルームの動画でご覧いただけます。
動画URL:【みんなで考えるSDGsの日 2021】特別番組 外務省 地球規模課題総括課長インタビュー | 【みんなで考えるSDGsの日 2021】特別番組 外務省 地球規模課題総括課長インタビュー

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