不確実、不安定な今だからこそ、誰もがPR会社のようにコミュニケーションスキルを身に付け、AIを味方に付けようと考えています。個人が自律すると同時に、組織としてゴール達成に向かう努力が、一人ひとりとビジネス双方の成長につながります。 世界104カ国、60万人が視聴するワールドマーケティングサミット eWMS2020に て、AI専門家 ナンシー・ネムス(Nancy Nemes)氏が、ヨーロッパにおけるAI社会実装の取り組みを発表しました。
ドイツ出身のネムス氏はAIの力で社会変革をけん引するHumanAIzeを創設、120社以上のAI専門家とともに活動。 「AIが世界の役に立つためのコラボレーションを」と呼びかけ 、2023年にはヨーロッパで2000万人のAI人材を創出することを掲げています。
AI開発はアメリカ、中国が圧倒的に優位。では不利な国に必要なリーダーシップとは何でしょう。「強いデジタル基盤を持つ」「積極的な投資」「AIテクノロジーを活用したビジネスモデルの積極的な評価」と述べます。
「社会善のためのAI活用に必要なのは透明性。技術や経済のためでなく人類全体のための目的が前提」「そのためのユーザー指向のマインドセットが不可欠」と語り、心情に訴える右脳指向、従業員の理解と激励が大切、と主張します。「AIはソフトウェア、ロボット。それを使う人間にとって何が大切か、なぜここで働くかが先」として、成長志向(グロースマインドセット)を育てるよう勧めます。
また、バランスが取れたAI活用社会のためには女性の労働力が必要、と鋭く指摘。現在、世界のAI専門家における女性の比率はわずか5%だからです。
「AIの開発には、エンジニアだけでなく、哲学科、考古学者、脳科学者、社会学者などそれぞれの専門家が必要。あらゆる質問を投げかけて人間にとって最適なバランスを取らなければならない」「イノベーションが生まれるためには、テクノロジーとビジネスの協力が必要」と多様性のニーズを説きます。
AIは多様性、クリエイティビティ、人権、価値判断、倫理、政治に影響しイノベーションを持続させる。AIを利活用するためのマインドセットとして、人間が競うのではなく共存する、同じゴールに向かう、恐れないことが必要なのです。
HumanAIzeの調査結果から明らかになった「AI時代の5大要素」とは下記のとおりです。
‐楽観視:AIを使う人間は敗者でなく勝者
‐成果の共有:AIを恐れるのではなく活用し、もたらされる変化を語る
‐意欲的な開発と活用:誤解の撤廃、理解の促進、データ流通
‐信頼:人類への機会と挑戦を理解、古い知識の更新
‐スピード:パンデミックの今だからこそAI活用を加速
AI利用を楽観視し、促進していくことが肝要です。また、AIを活用するための意欲、信頼、スピード感が重要。そのための人材育成、サポートや規制とうまくつきあいリスクを取る文化の醸成、ユニコーン企業を含むAI活用企業への積極的な投資が求められています。
最後に、「私たちの思考が未来を創る」「テクノロジーの領域を超えサイロを抜け出す、有言実行を」とベルリンからエールを送りました。
参考記事: 2021年に必要なのは、マネジメントを超えたリーダーシップ、サイロを超えたコラボレーション:日経xwoman Terrace (nikkei.com)