若者のダボス会議と呼ばれるワン・ヤング・ワールド(OYW)、 初のオンライン、初の東京開催イベント 「One Young World Tokyo Caucus 2020」。「インクルーシブ・リーダーシップ」をテーマに、SDGsとは何かを多面的に捉えます。ユニリーバ、LVMH、ファミリーマートから経済セッションまで、情熱と知恵がほとばしるイベントの見どころを PR会社の視点でご紹介します。
LOVEと平等のブランドパワー
- 「LEADERを形作るもの」開会講演 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役 人事総務本部長 島田 由香氏
基調講演はユニリーバの島田 由香氏。リーダーシップとは内側からにじみ出し外に伝わる態度、行動、考え方。そこには文字通り、ラブ(L)、エネルギー(E)、裏表のなさつまりオーセンティシティ(A)、ものごとを動かすドライブ(D)、情熱があることエンチュージアズム(E)、リスペクト(R)がある。相手を尊重して手を結ぶパートナーシップを、と呼びかけました。
- 「平等 ~ ダイバーシティ&インクルージョンの力」 LVMHグループ、シニア・バイス・プレジデントのステファン・ボイヤー氏
D&Iセッションを率いるスピーチはLVMHのステファン・ボイヤー氏。「今朝渡ってきたレインボーブリッジ、東京をつなぐこの橋ほどD&Iを表しているものはない」とエスプリを効かせました。
一人ひとりが等しくいられることとは、文字にすると英語でいうところのEqualityかEquityかという議論を超えて、自分もメンバーである、所属していると思えることが最も重要。それがインクルージョンであり、多様性とはそれを実現するための素材に過ぎない、と述べました。LVMHでは、人に自信を与えるブランドを通じて起業家精神、自分を高めること、心がつながるコミュニティを育てること、ワークライフバランスを大切にすることを実践しています。
パネルディスカッションには、ジバンシィ・ジャパン プレジデント&CEO クリスティン・エドマン氏(『Up to you「よくばりに生きる」ためのキャリア戦略』(日本経済新聞出版社)著者)、OYWアンバサダー 高堰うらら氏(scheme verge Chief Urban Officer / Business Development、NPO法人Your School non-profit organization Mara-thon Vice President 副理事長、ミスセブンティーン2012グランプリ受賞)、OYWアンバサダー カン氏(Gay Activist)が登壇。OYWアンバサダー 中尾 有希氏(WomEnpowered International 共同代表、HerStory Japan代表)がファシリテーターを務め、パネリストとファシリテーターが活発に質問しあう盛り上がりを見せました。
「多様性とはただの状況。インクルージョンには努力と意識が必要。企業内でクオータなど数のゲームをしているのはただの段階にすぎない」と指摘。自分が恵まれていること、持っている特権を素直に認めることで、そうでない人のことに気づける。誰が少数派か多数派かのマイノリティ・マジョリティ議論は状況によるものなので、それぞれの環境で少数派の人が自分らしくいられることが大切。それが、政治や都市計画、教育など、実際のユーザー人口分布と運営者とのギャップを生んでいる現状、ひずみの修正につながる。こうした複雑な状況の中で、自分を大切にする、自分をいつくしむことが、人への愛につながる、とメッセージを発信しました。
経済性と精神性による未来創造
- 「経済 ~ 真のサステナブル経済への挑戦」 ファミリーマート 代表取締役社長 澤田 貴司氏
経済セッションの冒頭はファミリーマートの澤田 貴司氏が日本語でスピーチ。コロナ禍で大打撃を受ける店舗、働く人をどう可及的速やかに変化させ、補填して、コンビニという小回りの利く業態、デジタルデータの活用により経営変革しているかを熱く語りました。そして「リーダーはゴールを見せなければならない」「人、環境のせいにしない。自ら考え、自ら変わる」と断言。地域ど密着、DX(デジタルトランスフォーメーション)へのコミットメントを訴え、ひたすらファミリーマート愛を放ちました。
続くパネルディスカッションは、初の日英バイリンガル実施。英語の壁をとり払う試みでした。登壇者は、株式会社NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長 稲川 尚之氏、フレスコ・キャピタル パートナー 鈴木 絵里子氏、The Human Miracle株式会社代表取締役 小橋 賢児氏。OYWアンバサダー 平原 依文氏(プロノイア・グループ広報兼コンサルタント、WORLD ROAD設立者・CEO)がファシリテーションおよび通訳にあたりました。
コロナの影響でGDPの大幅な減少が見込まれる中、オンライン、クラウド、サブスクリプションなどのサービス消費は伸びています。SDGsネイティブ世代は変化への適応力が強い。それを踏まえて投資家は、投資先の経済性とともに、その起業家が情熱、正義、そして柔軟性をもっているかを重視しています。
俳優業の後、世界を巡り、日本に戻って未来的なイベントを手がけてきた小橋賢児氏は、リアル開催が難しくなったコロナ環境下で新規事業プロジェクトを立ち上げました。イベントとは人が幸せに一瞬一瞬を生きることと発想の転換を遂げ、ノンアルコールバー「0%」をオープン。元気とは、ハイパーになることでなく元の気、つまりゼロになること、というコンセプトを打ち出しました。「店舗は究極のコンセプトショップになる、ストーリーと哲学フィロソフィーが必要。人はそのストーリーについていく、共感して買う。株主も、もちろん数字を詰めるが、ビジョン、ストーリーを見れば共感する」と述べました。
ここで紹介されたのが、アメリカの若年層に浸透する精神性重視・無宗教「Spiritual But Not Religious」(SBNR)の傾向です。今こそ、古来の八百万の神、神社仏閣などの聖地にある気、空気を読むなど見えないものを大切にする日本の精神性が、世界のお手本になるとき、と訴えかけました。
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アイティメディアオルタナティブブログ「コロナ下のニューノーマル、若者の社会と教育の再定義」を再構成しました。