標準家族って何ですか?
 
 

「かわいそうは作られる」というのは取材をするたびに感じることです。「あの人は一人だからかわいそう」は大人でも子どもでも思われがち。ほっとけよ、です。その人、その子が好きでそうしているのであれば。PR会社の現場から、新しい家族観の提案です。

おひとりさま限定の楽しみ

約200人の日経DUAL読者アンケートによると、ひとりっ子親の9割近くにとって理想の子どもの人数は2人以上。その理由の85%以上が「子どもにきょうだいをつくってあげたいから」。

日本では1960年代から、両親と2人の子どもがいる4人家族が「標準家族」になりました。春日部在住のお尻が好きな幼稚園児アニメ一家が典型(知ってるかな?)。

その40年後、2018年の総務省 情報通信白書によると、未婚率や高齢者の増加、核家族化により単独世帯が増加。その割合は2040年に約40%に達すると予測されています。

にもかかわらず『今でも「2人以上子どもがいることが望ましい」という暗黙の価値観がある』と指摘するのは臨床心理士・公認心理師、生殖心理カウンセラー、平山史朗氏。

そしてこう続けます。『「2人目はまだ?」「1人っ子はかわいそう」攻撃の苦しみから抜け出るには、自分を苦しめているのが、社会のなかで当たり前とされている偏見だということに気づくことから始まります。』

ネコ型ロボットに発注書

7歳の息子はひとりっ子。2人目は耳かきでぽろっと取り出せるぐらいお手軽なら欲しいです。ネコ型ロボットにペロッとPO(発注書)出して、子育ての大変な部分をぜんぶチョイチョイっと解決してもらえるなら欲しいです。海外では70代女性の出産話も聞くので、「まだイケるんじゃない」と妄想します。なぜなら、子どもはそれくらい、びっくりするぐらい可愛いからです。

とはいえ、上述の平山氏の言葉にも背中を押されて、1ミリも無理しません。既婚でも未婚でもそれはプライベート。その人の判断でよいと思うのです。

「子どもがきょうだいを欲しいか」も、悩みません。子どもと一緒に「ほんとね~、うちに赤ちゃんくるといいね~」と言って茶でも飲みます。

そう思えるようになったのは、「ママらしさ」など同調圧力という目に見えないものを、受けるも断るも自分次第、とわかったからです。

うちの息子はときどきニコニコしながらお友達に「あのねー、ぼくねー、ひとりだからねー」と嬉しそうに話していることがあります。「ああ、この子は自分がひとりっ子という自覚がある」「そしてそれをポジティブに捉えている」と見てとれるのは嬉しいことです。

魚介ファミリーも実はアリ!

一方でお父さん達の話からも「地方にいけばいくほど2人目プレッシャーが半端ない」「妻がつらい」と切実な声を聞きます。それは今から半世紀近い昔、若かりし母の話と同じ。「男児を産めなかった」と責められ、良妻賢母の呪縛に苦しむ姿を思い出し、胸が痛みます。

だからこそ、大きな声で繰り返したい。
「自分を苦しめているのは、社会のなかで当たり前とされている偏見です。」

その「一人はかわいそう」「ひとりっ子はかわいそう」は、「思い込み」という社会の蜃気楼かもしれません。もう後ろや横を見てあせるのを止めて、前を見ませんか。その因習をコロナ禍と一緒に卒業しませんか。

考えてみたら日本を代表するネコ型ロボット、お尻の好きな幼稚園児、それに魚介類アニメ一家ともに、子どもの同級生はほぼひとりっ子ですよ。作り手は社会の変化を細かく反映しています。それに気づいてないのは、受け身の視聴者であるわたしたちではないでしょうか。

もう一回言います。わたしも2人目の子どもはできれば欲しいです。
でももしかしたら「自分の遺伝子」でなくてよいかもしれない。
養子でもペットでもバーチャルでも、家族として愛せる存在、という意味で!!

■ 日経xwomanアンバサダーブログ 「耳からポロリなら大歓迎」を再構成しました。

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