先輩に学ぶ、年齢の表現力
 
 

フレッシュな新人を迎える季節、今年は遅れつつもわれわれPR会社も前に進んでいます。社会人として年輪を重ねるとともに、ビデオ会議で若手にならぶ自分の顔を見るとギョっとするお年頃…。 今まさに近藤サト氏のWOMAN EXPO講演 「近藤サト 閉経後の人生が長いのは後進を育てるため?」が心に響きます。

「容姿や属性などもすべて、“私はここにいたい”“これをやりたい”という決断の結果」
「自分らしく生きるとき一番大事なことは、意思を持って生きるということ」
「“私らしくない”とか“女らしくない”ではなく「自分が何をしたいか」が大切」
「“老いる”のは見た目はネガティブかもしれないけど、楽しい」

「女だから」はネガポジ

ビジネスにおける多様性 ※ を取材するたびに、「女性だから」という言葉の両面性に気づかされます。キャリアを積み上げてきた女性はその経歴、成果、評価を“ほぼ無意識な”男性に否定や阻害されることが多く、「わたしがこのポジションに居るのは女性だからではないはず!」と怒りを覚えます。逆に男社会の中で賞賛される女性リーダーは「わたしが取り立てられるのは女性だからではないのか…」と自問します。 IABC APACウェビナー多様性とインクルージョンがもたらすイノベーション」( 録画:YouTube スライド:SlideShare

「女性だから」のネガポジは両方真なり。働く女性は男性からの無意識な邪魔を指摘して怒って当然。実力は色メガネで見られるべきでないと、かけている人に伝える必要がある。なぜなら人間は残念ながら誰しも、ひとりひとりが無意識な思い込み、偏見を持っているからです。癖と同じで、他の人によってでないとなかなか気づかないものなのです。

わたしは20代から40代の男女からなる某コミュニティで、高い役職を持つ男性にしばしば「お姉さんだから」と仕事を依頼されました。しかも悪意がない、コミュニティのためという意味の発言だったので、年齢差別、女性差別と言えない空気を感じていました。しかし他の人への罵倒、攻撃、否定も続くのでこれはコミュニティのために良くないと思い、ある時「ハラスメントでは」と指摘。すると全員、多かれ少なかれ同じことを感じていました。「なんでそれに同調する必要があるんだろう」「所属し続けることは悪の助長ではないのか」と考え、あっさり抜けました。

折しもコロナ禍で新たなストレスを抱え、人間関係にも仕事にも真価が問われる時。だからこそ、不要なもの、成長を阻害するものはバッサリ断捨離するのにいいタイミングではないでしょうか。

女性がファクトとしてポジティブ

また、あるアワードをとったデジタルトランスフォーメーションの女性リーダーは、受賞後の舞台裏で開口一番「女性だからじゃないかしら」という内なる思いを聞かせてくれました。空気を読まないわたしは思いっきり「そうだと思います、いいと思います!」とニコニコ肯定してしましました。

その理由は、彼女の強さ、やさしさ、個性、実績、すべてが仕事の成果、デジタルトランスフォーメーションの推進に貢献しているからです。この場合の「女性だから」は、単純にその人の属性の一部であり、ファクトとしてポジティブです。こうした姿は、出る杭として打たれている女性の励みにも、あらゆるジェンダーの手本にもなります。

年齢はリーダーの自己表現

冒頭の記事で近藤サト氏は、女性の閉経をこう捉えます。

「哺乳類は閉経すると“産む性”から解放される」
「閉経すると“女として終わり”というイメージを持ちがちだが、人生100年だとすると閉経後にまだ50年も生きる」

そして閉経後も生き続けるシャチの一生に例え、「“若いシャチたちの教育係”という役割がある」とこう激励します。

「リーダーには企業の社長だけでなく、家庭、町内会、学校やPTAのリーダーといろいろある」
「年齢といろいろな経験を重ねて培ったものを、リーダーシップという形で後に続く人に還元できる存在になるべき」

その通り、とうなずきます。ただし人前に出るとなると、女性は男性よりも容姿が気になる。1月に日経ARIA読者交流会 #1 完璧なリーダーを目指さない「最強チームの作り方」 に登壇したとき、「わたしたち、若い子に無いものがあるじゃないですか!シミ、シワ、白髪!」と言ったらウケましたが、コロナ禍になって気づいたもう一つは脂肪。中年が誇る最強の4Sを謳歌しております。

そしてつくづく、国内外でビデオ会議やウェビナーをして自分の姿をさらし、写真や動画を見るたびに、「それでいいんだ」と思います。追いつめられて痩せていた若い頃よりふっくらした顔も身体も、肌や髪の経年変化も、それが今の自分。嫌な点は化粧で七難も隠せる、いずれも自分のチョイス。その自己表現を通してやるべきことをやるのです。

こんな時だからこそ、経験あるPRパーソンこそ自分を信じていい。それが未来のPRパーソンへのエールになります。

これまでのルールや組織が機能しない新しい環境で、信じられるのは自分と、信頼できる仲間です。今こそニューノーマルを作る時代、PRと自分を見つめ、人を思いやる、豊かな時間を作りましょう。

IABC APACウェビナー多様性とインクルージョンがもたらすイノベーション」 録画:YouTube スライド:SlideShare

■ 日経xwomanアンバサダーブログ 「ステイホーム 大人に4Sのプラスオン!」を再構成しました。

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