2月14日はバレンタインデー。日本チョコレート・ココア協会によるとその起源は西暦270年。当時のローマ皇帝クラウディウス2世が兵士たちの結婚を禁止したことに抵抗し、カップルの結婚を執り行ったバレンタイン司祭が殉教しました。この日が、ローマカトリック教会の祭日 聖バレンタインデーになり、14世紀頃からは愛の告白、プロポーズの贈り物をする日に発展。日本では1958年、東京都大田区のメリーチョコレートカムパニーがチョコレートの販促イベント、バレンタインフェアを行ったのが浸透のきっかけになりました。女性のライフスタイルが見直されていた時代の潮流の中で、『女性が男性に1年に1度愛の告白ができる日』というキャッチコピーが女性の心を捉えたとされています。
それからおよそ60年経た2021年2月、 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会会長 (当時) 森喜朗氏の 「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」 などのあいさつが世界中の非難を浴びました。謝罪会見における森氏の弁明「男女平等」という言葉の裏には、男性というゲタを履いて生きる特権階級の無意識が垣間見えました。この権力者の暴言が大組織のひずみを露わにし、危機管理広報の教訓となりました。
国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)では、「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」が17ゴールのうち5つ目に位置づけられています。半世紀ほど女性として生きてきた筆者自身の視点で見ると、1970~80年代に「ウーマンリブ(Women’s Liberation)」を新聞で読み、女性への不平等に憤慨した時代と、さほど変わっていない。むしろ女性の就業率向上とともに事情が複雑化して、ジェンダー不平等が深刻化しているように見えます。
コロナとともにデジタルで世界とつながる機会が格段に増え、さまざまな国の「女性の事情」が見えてきます。先日オンラインツアーあうたびで訪れたケニアの首都ナイロビ、東アフリカ最大のスラム街「キベラスラム」では、スマートフォンを片手に現地ツアーを率いた布マスク配布プロジェクトMASK4ALLの代表、塚原朋子氏に現地事情を伺いました。「男性が外に出る、女性は子どもが多いので家の中」「女性の仕事はこれまで髪の毛を編む、富裕層や外国人の洗濯掃除や子守などに限られていたが最近はバスの運転手なども加わり、少しずつ増えてきた」とのこと。
田舎から大量の若い人口流入が続くケニアのスラムでは、女性は妊娠するが男性に所帯を持つ意識がないので、父親が異なる子どもを3人、4人持つシングルマザーというのが一般的。彼女たちがスラムで店を持ち、日々現金収入を得るのはビジネスウーマンとして自立することを意味する、と語ってくれました。
ひと言に男女平等で片付けられない複雑な現実社会。森氏発言を機に、「平等とは」「女性のエンパワーメントとは」を考えさせられます。見えなかった問題や言えなかった違和感を言葉にすることは、インクルージョンの実現につながります。
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