PRとはなにか ~PR会社の現場から(日本)~

PRとはなにか ~PR会社の現場から(日本)~
 
 

共同ピーアールならではの視点で、「PRの基礎を知りたい、PR会社の情報収集をしたい」といった声に少しでも答えたい。その思いから前回に続き、ここでは 世界から見た日本のPR事情を紹介したいと思います。

日本のPRは代理店主導?

大規模なマーケティングを行う多くの大企業は、広告代理店に何億円単位の予算を投じて広告出稿し、その一部をPR会社予算に割り当てます。日本のPRは代理店(エージェンシー)主導、といわれるのは広告出稿を担う広告代理店の存在が大きいためです。

一方で日本の大企業の場合、広報部門がPRを内製してPR会社を使わないこともよくあります。逆に外資系企業の場合は、本社のメッセージをローカルに浸透させるためのプロとして、PR会社をほぼ必ず入れます。わたしが担当する多くが、日本の広報担当者は0~1人とごく少人数で、シンガポール、香港、アメリカ等の本社とのやりとりの多くをPR会社に委託しています。「うちは広報がいない」という嘆きを聞くのは日常茶飯事、そのためにお手伝いしているのです。

いずれにせよ、PR会社選びの前に、なぜPRが必要か、まず「目的」の定義が先決です。しかし、定期的な人事異動で広報が入れ代わる日本の会社や、PTAなどのボランティア組織の場合、成果指標いわゆるKPI(重要業績評価指標)が形骸化しがちです。残念なことに「前任者どおりの前例踏襲」「定型の広報誌づくり」のように、手段と目的が入れ替わっているケースも散見されます。これでは貴重な経営資源をどんなにPRに割り当てても、最適化どころか改善できる訳がありません。

エージェンシーに丸投げできないこと

PRの目的を明確化する上で、まずブランドを考える必要があります。PRの対象(モノ・ヒト・コトなど)を、どうオーディエンス(伝達先となるメディア、消費者、企業、政府など)に好意的に受け入れてもらい、信頼、支持、行動してもらうか - その全体像を象徴、可視化するブランドがPRの土台になります。

別のいい方をすれば、PRはブランド作り実現のプロモーションの一環で、具体的な手段を選ぶのです。ここは、一方的にPR会社まかせにはできません。自らがどうありたいかは、組織や企業の存続を決めるからです。PR会社はあくまでも、クライアントのブランド作りを支えメッセージを伝える戦略および活動を提案し、それが承認されて初めてオフィシャルに動けるのです。

媒介者としての社会的責任

日本の大企業は例外ですが、多くの企業で広報の人材が足りず、わずかな人数で機密情報を抱え、日々刻刻の報道対応に迫られ、多忙で孤独です。情報がどういう形になるか確証がない報道機関を相手に、ときに経営を左右する緊迫した情報戦を強いられ、神経をすり減らします。

PR会社が社会課題の解決に貢献しようという背景には、こうした実態があります。拡大し続ける情報社会の中で、多くのクライアントを支えながら世の中の人と情報を結びつけることで、需要と供給を最適化し、社会の成長に寄与しようとしているのです。

PR会社は決して華やかな主役ではありません。しかしながら、ひとりひとりの情報発信者とメディア、読者をつなぐ媒介者として、社会の重要なパートナーとしての重い責任を担っているのです。

PR会社はパートナー
GlobalCom PR Network Annual Meeting 2019撮影:Angelika Güc)

取材協力:共同ピーアール株式会社

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