「ビジネススクールにPRのクラスがない」という声はよく聞きます。一方、なんとも魅力的な経営者、起業家は、仮にPRマネージャーが身近にいなくとも、ごく自然に人間性あふれる会話、やり取りができるもの。 大人、子どもを問わず「地頭がいい」を感じさせる秘密は何でしょう。『「頭がいい子」が育つ家庭の8つの習慣』 (日経DUAL編、日経BP刊)をもとに、探ります。
「 頭がいい」の共通項
「頭がいい」を脳科学者の茂木健一郎氏は、「変化に適応できること」と解釈します。それはコロナとともに強まった、VUCA(Volatility(不安定)、Uncertainty(不確実)、Complexity(複雑)、Ambiguity(曖昧))が前提の今日に必要なスキル。
生き残るのは変化に対応できたもの、というダーウィンの進化論そのものです。
計算や定型業務は人工知能が処理できるAI時代。お茶の水大学名誉教授 内田伸子氏は人間が活きる分野とは、「想像力(クリエイティビティ)、共感(ホスピタリティ)、感情コントロール(マネジメント)」それにコミュニケーションを含む『非認知能力』だと言います。非認知能力とは、IQやテストで数値化しづらい人間力。PRに求められる能力そのものです。
PRのプロはSDGs推進役
地頭がいい、を感じさせる行動には自発性があります。それは、青山学院大学教授、福岡伸一氏が述べる『未知なるものに初めて触れる驚きや感動、いわゆる「センス・オブ・ワンダー」』。主体性が人を能動的、魅力的にするのです。
同時に何かしらの「アウェーの感覚」を持ち続けることが重要。未知の状況の中で学び続ける力、変化適応力を生むからです。
地頭の良さの土台は、決して報酬、肩書、学歴などでなく、志、情熱です。そこに論理性、スキルが加わりビジネスパーソンとして独り立ちできます。
さらには自身を客観的に捉え、利他につなげる努力が大切。
PRは社会の鑑。プロフェッショナル一人ひとりが、地球的課題を解決するメンバーなのです。
必要なのは形ではない
コロナで対面が制限されるようになり、PRでもリアルイベントの実施は難しい。そこで求められるのがまさに非認知能力です。記者会見も取材も展示会もオンラインツールを使いながら、‟失敗がつきもの”を前提に心の余裕をもって進めます。
先日取材した ワン・ヤング・ワールド(OYW)の「Tokyo Caucus 2020」 で、登壇者のThe Human Miracle株式会社代表取締役 小橋 賢児氏は語りました。コロナで対人が難しくなりイベントは止まった。しかしイベントとは何だろうと考え直すと、必要なのは形ではない。人がわくわくすることだと気づいた、と。
コロナ禍の打撃が大きいところこそ、こうした非認知能力を使った思考とパートナーシップが求められる。
そこには、地頭とハートがある人が集う場があり、経済の源が生まれます。
肩書でない、地頭を鍛えた次世代のリーダーシップ。それがPRに求められる資質なのです。
参考:
日経xwoman 「子育ては親育て、未来育て、が見えた瞬間」