この半年でウェビナーがけた違いの増えました。どの企業も、ビジネスの停滞を防ごうと、自社だけでなく業界を盛り上げる取り組みを強化しています。そのメッセージの中に、コロナ禍を超えるためのヒント、多様性のカギがあります。
進化するPR 2020
活版印刷が生まれて聖書が普及したように、スマートフォンとSNSの到来とともに、日夜生まれては消える 膨大なコンテンツ環境が一人ひとりの身近になりました。
これからの10年をどう進むか。PR会社、PR業界でも、様々なイベントで議論されます。
PRのプロといっても、メディアリレーション、パブリックアフェアーズ、マーケティングコミュニケーションなどなど、専門分野はまちまちです。また、キャリアと経験値は比例するので、 何がホットか議論の粒度も、 人それぞれ。組織や社会をどう動かすかといったマクロから、報道機関との上手なつきあい方やITツール活用といったミクロまで、場によって異なります。
一方で古今東西、老若男女を問わず、視野を狭めずに視座を上げる秘訣は、発言する人の属性や歴史が意見に反映されているのを織り込むことです。また、イベントの登壇者やトピックも、どういう主催者が、どういう意図で選んだか、を捉えると、それを踏まえて自分が発言、発信する際のヒントになります。
日本でこれまでの10年に使われた言葉は、戦略PRでした。個人的には、プロにとって戦略なきコミュニケーション、パブリックリレーション(PR)は存在しないという矛盾を突いた言葉と捉えていました。
これからは、メディアもコンテンツも、社会の多様性を反映していくものと予測されます。
既に、感度の高いニュースメディアは、「人権の尊重」「差別の禁止」「多様性の理解」を重視し、コンテンツにあわせて「イクメンパパ」、「女子力」、「男前」といった日本では一般的であっても配慮にかける表現を控えています。
次の10年は、D&I( ダイバーシティ&インクルージョン )基点のPRが拡大するでしょう。
5年のブランクを埋める
PRに携わるものは今こそ視点のアップデートが必要。様々なPR討論で出会ったのが、日本から見たアメリカを前提にする議論と、2015年北米を日本と比較する例でした。
これは、D&I重視の社会を政策した合衆国のオバマ政権、カナダのトルドー政権の時代を反映しています。例えば、加トルドー首相は 2015年の組閣時、閣僚の半分が女性であることの理由を聞かれ「なぜなら、2015年だから」と回答。これはジェンダーを超えた多様性の重要さを直視する姿勢として、高く評価されました。
しかし、です。これを引用している時点でもう5年古い。この発言の真意は、「今、当然のことだから」。
PR観点からみると、過去の北米と今の日本を比較することにあまり意味はない。
今わたしたちは、D&Iの推進が「2020年、いやもうすぐ2021年だから」と言う時なのです。
その根拠となる情報は、コロナで成長するオンラインチャネルのおかげで、そこここに溢れています。
どちらのMも安全な環境
日本で一番身近なダイバーシティ課題のひとつ、悪化するジェンダー・ギャップを改善しようとする取り組みも加速しています。日経ウーマンエンパワーメントコンソーシアムのジェンダーギャップ会議では、D&I とはなにか、マジョリティとマイノリティとはを考えさせられる発言がありました。
同セッションの登壇者は女性4人、男性1人。
―― 石塚さん、本日の登壇者は5人のうち4人が女性で男性は石塚さんお一人。今日の男性比率は20%ですが、こういう状況では、ご自身がマイノリティーであるという気持ちになりますか?( 日経xwoman総編集長 羽生祥子 氏)
石塚 怖いですよね。変な発言をするとバッシングを受けるのではないかと思ってしまいます。 (日本経済新聞社 編集委員 石塚由紀夫 氏)
なぜD&I、つまりダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包み込むこと)がセットになっているか。
それは、こうした「排除される恐怖」を取り除くためです。
マイノリティを特定して多様性を明らかにするだけでなく、一人ひとりが安心して生活できる環境を作ることが大切だからです。それが、個人、企業、国の成長エンジンになるのです。
PRの力で未来を拓くPR総研では、D&I推進によるSDGs達成、ESG投資のコミュニケーションに貢献しています。
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