「デジタル庁」創設が動き出しています。ビジネスではもう何年も取り組んでいるデジタルトランスフォーメーションを、国家レベルで推進する政策に注目です。社会のデジタル化を踏まえた危機管理が求められています。
デジタルの二面性
デジタル化には光だけでなく影もあります。不幸にもドイツでは 9月、デュッセルドルフ大学病院がハッカー攻撃を受け、同病院に搬送されるはずだった患者が予定変更により死亡。データの暗号化を人質代わりに身代金を要求するランサムェア被害が発端だったため、「ランサムウェアによる死亡事件」と話題になりました。
参考:Washington Post/Associated Press
だれもがコロナウイルスに感染する可能性があるように、だれもがランサムウェアの被害者になりえる。それほど、ランサムウェアはごくごく身近に潜伏しています。コロナウイルスもランサムウェアも、最悪の場合は死につながる脅威なのです。
エモテットに厳重注意
先月、共同ピーアールが加盟する日本パブリックリレーションズ協会(PRSJ)から、「【重要】協会関係者を装った”なりすましメール”の発生について(PRSJ)」という注意喚起が発せられました。これは今年2月、サイバーセキュリティ月間に菅義偉内閣官房長官(当時)が警告した「Emotet(エモテット)」被害の延長と考えられます。
参考:独立行政法人情報処理推進機構セキュリティセンター 「Emotet」と呼ばれるウイルスへの感染を狙うメールについて
エモテットは、ランサムウェアの呼び水になりえます。そして上述のとおり、ランサムウェアは時に人命に関わります。
だからこそ、ランサムウェアを一例とするデジタルの負の側面を解決し、社会の強化を導く力がデジタル庁に求められます。社会を支えるデータ活用、システム連携への障害を取り除く牽引力が必要です。
バックアップという危機管理
ヴィーム・ソフトウェア株式会社の 執行役員社長 、古舘 正清氏はEnterpriseZine寄稿で、「ランサムウェアに万一感染してもデータを取り戻せるように、バックアップを取っておくことが必要」「バックアップは、企業データを守る危機管理広報の手段」と述べています。
デジタル社会では、社会、ビジネス、生活のあらゆる要素が相互的に連鎖しています。つまり、ひとつの負から次の負が生まれることがあれば、逆に力が力を呼ぶこともあります。その仕組みを理解して、データを完全に保存、復旧、利活用できる組織運営に踏み出すことで、デジタル環境下の危機管理が可能となります。デジタルの効力を、コロナ禍の終焉、SDGs達成につなげるひとつひとつの取り組みが、危機管理広報につながるのです。
共同ピーアールは危機管理広報を通じて企業を支援しています。
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