ニューノーマルで人気の幸福学
 
 

コロナになって、幸福という言葉をひんぱんに耳にするようになりました。幸福の測り方や定義はさておき、「自分から」「好きだから」取る行動が、幸せを感じる充足感につながるというのがおおよその共通項。PRの視点で読み解きましょう。

地球を動かすボランティアの力

大きな声では言えませんが、筆者はおカネにならない仕事が好きです。下手に金銭が絡まないボランティアは、新たな学びにつながりやすく、素直に楽しめるからです。誤解ないようにお伝えすると、もちろんPR稼業、おカネになるPR仕事はもっと好きです(笑)。

在フィジー語学学校COLORS(カラーズ)校長 、永崎裕麻氏は「日本はボランティアの定義がかなり狭い」と指摘。「少しの時間でいいから、少しの労力でいいから、少しの成果でいいから、社会のために実際に行動してみる価値は莫大」「『社会貢献』を広義に解釈していくことで、自分が世の中のために役立っている感覚を得ることができ、ハッピーになれる」と訴えます。(引用:日経doors「コロナ禍の今こそ「ボランティア」を再定義しよう」)

ユニセフ調査、先進国における子どもの幸福度分析「Worlds of Influence, Understanding What Shapes Child Well-being in Rich Countries」によると、日本における子どもの精神的な幸せ、友人の出来にくさともに世界ワースト2位。孤独な姿が浮かび上がります。この精神的飢餓を問題視するジャーナリスト、島沢優子氏は「『選ぶ』という行動が人に大きな力をもたらす」「『選択』は、自分で自分の環境を変える能力、選択するためには、まず『自分の力で変えられる』という認識を持たなくてはならない」と述べます。 (引用:現代ビジネス「「こころがボロボロ」子どもの精神的幸福度調査 日本がワースト2位の理由」

これは、子育て世代の教育現場はもちろん、ビジネスパーソンの職務においても同じ。とくに、新しい視点、見えないニーズを見つけ出すPRにおいては、情報を集めてニュース価値の仮説を検証していく上で、自発的に選択する力が重要です。

義務じゃない、好きなんだ

これは、日経ARIA「妹たちへ 清水ミチコ 年を取るほど前向きに今を楽しむ」で清水ミチコ氏が述べる「到達点を自分で決められる、という自由「『私は義務でやっているんじゃないぞ、好きでやっているんだ』という気持ち」自分を犠牲にしたら幸せになれない」という言葉とつながります。

先日開催された次世代マーケティングプラットフォーム研究会 第20回総会、「Withコロナ時代の行動経済学、”ナッジ”とマーケティング」では、「幸せをつかむ戦略」(日経BP社)著者のプリファードネットワークス執行役員 CMO、富永朋信氏が、幸せの構成要素、自発性について触れました。

「ごみを捨てるという行為でも、夫なり妻なり伴侶に言われてイヤイヤ捨てにいくのと、自ら進んで捨てにいくのでは心持ちが違う」は、身近な例です。ごみをまとめるまでして廊下に置かれ義務的に「捨てておいてね」と言われるのと、自分でまとめて段取りして捨てに行くのでは、モチベーションが違います。

これから必要な職業観

コロナ禍になって、やりがいや生きがいを求めて転職するケースも増えています。上述の清水ミチコ氏の言葉「私は義務でやっているんじゃないぞ、好きでやっているんだ」は、これからの職業観に必要ではないでしょうか。

これはPRでも大事です。広報やマーケティング、代理店だから、と義務感でこなす仕事には熱や愛情がなかなか籠らず、伝わりづらい。伝える内容、情報、手法まで吟味し、伝える価値を形にできるからこそ、PRの仕事は楽しい

どの仕事でも、生活シーンでもそれは同じ。見方を変えると、グッと幸せになれます。

変化を楽しむ「幸せ上手」が増えるきっかけを、コロナがもたらしています。仕事も人生も、他人の基準に合わせるのではなく、自分らしい生き方を選びましょう。

選択が、人生の楽しみ、喜びにつながります。それがニューノーマルならではの幸福ではないでしょうか。

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