PR会社の選び方、使い方 -その1(知る)

PR会社の選び方、使い方 -その1(知る)
 
 

世界的に広報・PRの代行やコンサルティング業務は、実績とノウハウがあれば、学歴にあまり関係なく、設備投資もほぼゼロからはじめられる、参入障壁の低い産業です。日本ではPR会社約100社が日本パブリックリレーションズ協会に加盟していますが、登録していないフリーランス事業者も数多く存在します。そこで、企業や組織のPR活動の質を高めるための、PR会社の選び方、使い方を順に紹介します。

PR会社選びの順序

ここでは今回から下記の3ステップに分けて、クライアント企業としてPR会社と上手につきあうベストプラクティスをご紹介します。

・ PR会社について知る -【今回】
・PR会社を選ぶ
・PR会社を使う使う

知っておこうPR会社調べの基礎

PR会社、PR業は、単純作業はともかく、RPAやAIで置き換えらえる業務がまだ少ない領域です。広告費で買えないメディアの信頼や人脈(メディアリレーションズ※)が不可欠であり、つまり専門知識、経験値と人望を備えた人の判断が欠かせません。PR業は労働集約的な知的産業なのです。※共同ピーアールの商標登録

このように、PR会社の成果は人に依存するため、事業規模の拡張(ビジネススケール)が難しい分野です。とくに言語障壁の高い日本では、売上高10億円以上、社員数100名以上、英語対応可能な総合PR会社となると、当社を含めてわずか数社しかありません。

企業がPR業務の外注(アウトソーシング)を依頼する場合、ビジネスリスクが低いPR会社の、スキルセットが揃ったPRコンサルタントに担当してもらうのがベストです。しかし、恒常的な人材難から、予算次第で特定コンサルタントの時間の奪い合いになります。

また、単純にスキルが高ければよい人材、チームになる訳ではなく、依頼者・企業との相性による相互作用が大きく成果に影響します。このため、メンバー交代などの改善策を提案できる組織力があるかも、PR会社を調べる重要なポイントとなります。

  • PR会社調びのチェックリスト

PR会社を使うかどうかの第一歩は、自社の事業内容、企業規模、組織構成などニーズに沿って、必要なスキル、専門知識、能力を洗い出すことです。まず下記をもとにチェックリストを作ってみましょう。

自社ニーズ PRの対象、時期・範囲、予算は?
自社のパートナーとなるPR会社として必要な条件は?
PRエージェンシー担当者のスキル PR会社の担当者レベルのスキル (情報収集、分析、調査、報告、文書作成・校正・編集、判断力、 プレゼンテーション力、プロジェクト管理能力、対人力) は?
専門知識 IT、エレクトロニクスなど自社の専門分野で実績があるか?
専門コンサルタントが在籍している(退社してない)か?
組織力 自社ニーズに沿ったチーム構成を提案できるか?
担当者が適任でない時にチーム変更ができるか?
緊急対応、危機管理に対応できるか?
言語 外資や海外案件の場合、英語その他、必要な言語にビジネスレベルで対応できるか?
業務量 業務量が多い場合、対応できるチームを組んでもらえるか?
滞りなく プロジェクト管理できるか?
相性 対面でもデジタルでもスムーズにコミュニケーションを取れるか?
一緒に成長できるパートナーか?
成果 業務と予算のバランス、成果の設定と評価について理解し合える、話し合えるか?
評判 自社ブランドを棄損しないか?
ステークホルダーから支持されているか?
  • PR会社のカルチャーも確認

クライアント企業の広報担当者(インハウス広報)としてPR会社に業務を発注する際、相手が人として話や意味が通じるか、スピード感覚や倫理観、判断基準に親和性があるか、も必ず確認したいポイントです。仮に特定の業界、ランキング、アワード、SNS等で知名度が高いPR会社でも、必ずしも実務の経験値が豊富とは限りません。そして、相手を好きと思えるか、は一緒に仕事をする上でとても大きな要素です。これらを総体して、ケミストリーやカルチャーの合致と言います。

こうしたことは往々にして、ホームページやSNSだけでは分かりません。電話や対面での打合せだけでなく、実際のステークホルダー(ユーザー、メディア、社員等)の今の生の声、それに業界での評判を複数聞くと判断材料になるでしょう。

ケミストリーチェックのポイント

・ブリーフィングや提案時に会話が成り立つか、意味が通じるか?
・ 相手の時間、倫理、判断の感覚に違和感がないか?
・ 相手は好ましいか?有名無実ではないか?

次回は、PR会社選びの要点をご紹介します。

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