PR会社というと華やかなタレント、テレビと距離が近い、というのはエンターテインメントやライフスタイルなどの世界。外資ITを担当していると、堅いニュースが主。だからこそ、プライベートでゆっくりテレビを見る時は、お笑いや癒しを求めてしまいます。とはいえ、そんなときにも観察するのが、PRのハードルです。
高い日本語の壁
あたり前と言えばあたり前ですが、日本のテレビに出るにはまず日本語が必須。通訳を介してでもテレビに出られる外国人とは、緊急性が高いなどよほど特別な企画か、 ひと握りの高名な人物のみ。そうした点では、コロナ禍に入ってテレビ東京のゆうがたサテライト ニュース(以下に抜粋)に登場したAI企業Appier(エイピア)のチーフAIサイエンティスト ミン・スン氏はその両方に当てはまっていました。
2020.02.20 17:00
企業イベントも異例の手法で
アジア12ヵ国で、AI技術を用いた広告・マーケティングソリューションを開発提供する「Appier (エイピア)」。
台湾からの来日登壇を予定していた報道関係者向け説明会は、新型コロナウイルスの感染防止のため、急遽中継に変更しました。
Appier ミン・スン氏「一番の心配は情報が不確定になることだと思う。不確定な情報や遅れて入ってくる情報によって企業が判断を誤ってしまうことが一番の懸念だと思う。」
世界の1%の感覚
日本の人口は1億2700万人弱、世界の1.6%ほどです (2019年) 。ですが、 海に囲まれた島国、 世界第三位の経済大国、育まれた文化の中に居ると、自分たちが世界の中ではある意味マイノリティ、ということをすっかり忘れてしまいます。
それを思い起こさせてくれるのが、海外の世相や風景、そこにいる稀少な日本人の暮らしぶりを伝えるテレビ番組です。外国へのあこがれと同時に、日本人としての共感を覚えるのです。
観ていると仕事柄、そのロケの過酷さ、長時間の撮影の後にシーンをつなげてストーリーに昇華、日本語で届ける仕事の膨大さを思い、頭が下がります。さらにはゲラゲラ笑わせてくれるセンス、テンポなど、とくに地上波にはいつも脱帽しています。
一方で、いわゆる「一般的な」男女の役割、ジェンダーの描かれ方にはつい目がいく。挑戦作といわれるものを別にして、家族や社会を描くときに往々にして、「男は上(管理)と外(会社)」、「女は下(事務)と内(家庭)」という分断の「常識」がにじみ出ているからです。もちろん、その「常識」に挑む話は痛快です。
話は変わりますが 9月4日のジェンダーギャップ会議「多様性のある組織が勝つ! 女性リーダーを増やす企業の戦略」では、立命館アジア太平洋大学(APU)出口治明学長が基調講演は秀逸でした。『男女平等』の落とし穴を指摘したのです。
「男女平等、男性と女性と違うけれど平等だ」という議論は、「人の多様性を男と女の2つの箱におしこめる抑圧的思想」と一刀両断。なぜなら、男女平等の概念には、LGBTなど多様性が存在する余地がないからです。
「男女平等」という差別
「男女平等が差別の出発点」という視点でテレビを観ると、世の中がちょっと違って見えてきます。
いつも世の中に新しい風を吹き込むのは、少数者。自分のいまの環境の良さを理解しつつ、こうした新たな視点を持つことが今、コロナを超える社会に必要なのではないでしょうか。
そう思いながら、毎週末に昭和感満載なファミリーアニメをみてツッコミまくると、脳トレになります。家庭にちょっとPRの視点を持ち込みながら、ジェンダーギャップを我が家なりに埋めに行く、平和なひと時です。
PRは常に、メディアの需要と供給の上に成り立っています。ただし、ただ受動的にメディアの需給に流されては、企業も個人も手段に走り、存在意義や本来の目的を見落としがち。世界を俯瞰する視点で、世の中が良くなる情報流通を担うのがPR会社の仕事です。
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